読書三昧

 久々に読書三昧で一日を過ごす。こういうのは本当に久しぶり。普段がどうしてもアウトプット作業(書く・しゃべる・作る)中心で過ごさざるを得ないので、なるべくインプット作業をしないようにしている。切り替えがなかなかきかないからだ。高校生の頃に聞いた話だが、「勉強」をするときにアウトプット(書いて覚えるとか)が向いている人は、普段の生活もアウトプットにしなさいとのこと。息抜きに漫画を読むのではなくて、自分で描くとか。確かに自分にはその方が勉強しやすかったので、ホントに漫画を描いていた(笑) 最近も、よっぽど暇な時じゃないと本や漫画を読まないし、テレビもほとんどつけないし(ニュースの時間と、鉄腕ダッシュくらいで)、音楽も滅多に聴かない。テレビは大抵何かをしながら見ているし、音楽は運転をしながら聴いている。完全インプット状態にはなってなかった。
 ところが、今日は朝っぱらから文庫本と13巻もある漫画を始めてしまったのだ。昨夜、何となく読みたくなって吉本ばななの『白河夜船』を読んでしまったのがきっかけだった。気づくと夕方近くだった。あーあ。明日から仕事になるのかな、と不安に思いつつ、今こうやって、アウトプット作業をしているわけである。リズムを直しておかなくちゃ。
 吉本ばななは、好きな作家の一人。とはいえ、あんまりたくさんは読んでない。彼女の作品には大抵凛とした寂しさが底辺にある恋が描かれているから。大好きな人が死んでしまうことが多いから。未だに『キッチン』も、同じ文庫に入っている『ムーンライト・シャドウ』も、読むたびに涙が止まらなくなる。「読んでない」というより、「読めない」のだ。真夜中の空気。きーんと冷えた清冽な空気。そんな雰囲気の本。心がまた汚れそうになったら、読もうかな。純粋に「誰かを好きだ」と思えなくなってきたら読もうかな。