毎日をどんな風に過ごしていても、月日がめぐっていく。
 初めて師匠に逢えた日、8年間憧れてその人を目の前にした時、私はどれだけ遠くに歩いてきたんだろうと思った。中学1年生の私から、どれだけ違うところに来たのだろうかと。7月29日は師匠の誕生日。毎年気にすることしかできなくて、陰ながらお祝いを勝手にしていただけだったのが、そのときを境にお祝いのメールを出すことができるようになった。
 あれから、もう10年近く経つ。また私の立場は変わった。今日もお祝いのメールを出す。でも私の気持ちも、師匠の返事もずいぶんと変わった。本当に、遠くに来た。しみじみと思う。
 毎日似たような景色を見ながら日々を過ごし、螺旋階段を歩いていく。繰り返し目の前に来る同じ景色を見ていても、自分のいる場所はやっぱり変わっているのだ。それは切ないことでもあり、喜ばしいことでもあり。
 さあ、またこれからも続けて歩いていこう。螺旋階段を歩きながら。同じような景色の中でも、せめて1歩でも高い場所へ。