ネタ1

 金曜日のこと。まだお子ちゃまたちと出会って2日目。席についている状態で「……え〜〜っと〜…○○さん」って呼んで6割がた正解するのがやっとの状態の昼休み。「ボールけり、みんなでやろう!行ってきます!」と男の子達が勢いよく出て行った。ボール蹴りって何やろな?と思いつつ落ち着いて仕事しようと思ったら、がしっと腕をつかまれた。なつっこい女の子。
 「センセも一緒にやろう! センセが鬼ね!!」
 何その決定事項!? 「鬼は○○さんって決まってたじゃない」と抵抗したら「2人で鬼」という、鬼そのもののセリフで拉致られた。え〜…。
 まあ、校長の初日のお言葉が「休憩時間は子どもと一緒に遊べ」だったので、最初のうちくらい遊ぶ姿を見せておくか…という大人の事情で外に出る。ボール蹴りってどんなルールかと聞けば、どうやら缶蹴りのボールバージョンらしい。確かに校庭で缶はあんまり蹴れないよな。缶蹴りくらいはルールを知ってるので(○○ちゃん見つけた!の後にボールを「1、2、3!」と3回踏まないといけないとかいうローカルルールは知らなかったけど)とりあえずやってみることに。
 太っていてやる気のない男の子と、私を拉致った女の子をすぐに見つけて捕まえる。見回していると、異様な雰囲気に振り返った。ボールを狙って、満面の笑顔でこっちに向かって走ってくる男の子。うちのクラスの子だということは分かる。ボールの上に足を構えて………
 「あんた名前何だっけ!!!」
 ぼーーーーーん(←ボールが飛んでった)
 『わぁぁぁい』(←捕まえたのも飛んでった)
 くず折れたね。失意体前屈のお手本くらい。結局30分間ずっと鬼。