祭り?

 世間様はクリスマスイブだけど、実家に帰っていて旦那はいないし、ちびはまだ産まれてきてないし…となると、クリスマスという響きそのものが「どーでもいいや」という感覚に陥る…(苦笑)ニュースでいろいろやってたって、騒ぎ好きの母が「うちは仏教徒だし♪」と言うくらいじゃ、我が家に騒ぐ人はいない。
 ところが、思わぬ方向から祭りが始まった。父が毎年どこからか安く牡蠣を仕入れてくるのだが、今年もそのお店に行って来るとかで祖父母に「牡蠣いる?殻付きもあるよ」と連絡すると剥き牡蠣と殻付きをいくつか頼まれた。我が家も雰囲気だけ少し買うか、と言って出て行った。帰ってきた父がぶら下げているものを見てびっくり。まあ剥き牡蠣はいいとして、殻付きの牡蠣と、ムール貝たっぷり。祖父が毎年ムール貝をほしがるらしいのだけど、これがまたタダなのだとか。要するに、牡蠣船に勝手についてしまうムール貝をもらってきてるようで。十分食べられるし祖父は好きなので、「お金払う」と言ってもタダで山ほど押しつけられてるというのが実情の様子。
 別口で買い物に行った母は、「あった♪」と以前もやった若鶏の丸ごと肉を買ってきた。あったって…。シーズンだけに前回より200円高かったけど、それでも千円しないんだから…他の売り物チキンって手間賃どんだけー♪なんだな…。母が鶏を下ごしらえしている間に祖母から電話。「じいちゃんが、牡蠣焼くって。あんた達も来る?」うちにも殻付きがあるので一緒に焼いてもらうことにし、チキンができるまで待ってもらって行く。
 祖父母の家に行ってみれば、祖母が文句を言いながら祖父の準備を見ていた。「私が牡蠣飯作ったのにさ。じいちゃんはじいちゃんでとっとと準備してるのよね」…そりゃ、今日明日中にやらないと傷むしねぇ…。休みは今日までなんだからいいじゃない♪となだめておく。祖父は必死で一人七輪の火をおこしていた。本格的だなぁ…。牡蠣が来てから一人でずっと殻を洗ったり炭を探したり、果てはムール貝まで下ごしらえしてしまって、すでに全てがむき身になって冷凍されるのを待ってる状態とか。さすがじーちゃん。(←綾戸以上に一通りできます)
 すでに日が落ちている中、七輪を囲んで焼き牡蠣♪うおー久しぶり♪
 七輪の熱なのか、盛り上がり熱なのか、そんなに寒さは感じない。口を開いたものからちょこっとお酒と醤油を垂らして、少しそのまま熱して食べる。綾戸はかなり熱してからじゃないと食べさせてもらえなかったが…。でもおいしい。いつもはフライとか鍋とかになっちゃうし、そもそも綾戸家で牡蠣が好きなのは祖父母と綾戸だけという状態なので、牡蠣そのものがそんなに食卓に上がらないのだ。焼き牡蠣が滅多に食べられないので、テンションの上がる祖父と綾戸。(祖母は寒いと言って家の中に引っ込んだまま出てこなかった。祖父が焼けたのを「貢ぎ」に運んでた)
 牡蠣を焼きながらふと気づく。
綾「じいちゃんち、5〜6個でいいって言ってたよね?」
父「うん」
綾「我が家のも合わせて10個ちょっとって言ってなかった?」
父「うん」
綾「…多くない?」
父「……うん…」
 焼いても焼いても袋の中の牡蠣が減らないんですが…? 結局30個近くくらいはあったような…。焼きながら食べながらなので正確な数なんて数えてないけど。おまけをたっぷりつけてくれるらしい。どこで買ってるんだどこで。広島ならではなんだろうな…牡蠣の大サービス。
 1時間半くらいかけて焼き牡蠣を食べ、大満足して家の中に入り、私は祖母の牡蠣飯も食べ(両親は好きじゃないので食べなかった)、祖父は前回からいたくお気に入りのチキンの丸焼きでワインが進む進む。ご機嫌さんになっていた。お腹がいっぱいになって帰ろうとしたら「もう帰るんか!これから飲もうと思ったのに!」と言い放って、周りに「ワイン1瓶、ほぼ一人で空けたのを、酔って忘れてるでしょ…」とツッコまれたくらいに。
 はー…。幸せ。だけど、絶対食べ過ぎ。「クリスマスと正月は敵」という看護婦さんのせりふは正しいな…。