つくし。

 小さい頃、春になるとたまに近所の川土手に行ってつくしを採った。たいてい父と弟と3人で、天気のいい日に。結構たくさんの人がいて、みんなつくしを取りに来ているからもうほとんど残っていなくて、一生懸命地面を見ながら探しては「あった〜!」と言って喜んだ。小学校では常に「前ならえ」と号令をかけられて腰に手を当てていた私の両手いっぱいくらいに採れたつくしは、家に帰っても調理されることは無かったけれど、何となく「うちでもつくし生えないかな」と軒先に埋められていた。
 必死でつくしを探す私にカメラを持ったおじさんが声をかけ、つくし大盛りになった両手を写してもらったら、しばらくして地方のタブロイド紙に顔をさらすはめになったこともあった。いとこ達と採りに行った時には、「ないー。ないー」と下を見ながら歩くいとこの後ろをついて歩くとたいてい何本か生えていて、「Y君の後ろをついて行ったらつくしがある♪」と喜んで追いかけて回った。
 つくしって、そういう思い出。何となくノスタルジックセピア色。
 だったんだけど!ちびをベビーカーにのせて歩く散歩道にあるこれは一体何だ!?

何これ、何でこんなにつくし生えてんの!?ってびっくりしていたら、その後。

 何このにょきにょき。いっそ気持ち悪ッ!
 セピア色の思い出は、田舎の田園風景に負けました(苦笑)