嵐来たりぬ

 広島に住む祖父母が遊びに来るという。熱海に何時に着くのか電話で聞いてみたら「10時36分」という返事が…始発に乗ったのか!? うちからも熱海はちょっと遠いので、7時は起きて着替えと荷物だけ準備して出発し、途中のコンビニで買ったおにぎりをかじりながら運転して迎えに行く。
 祖父母の目的は早咲きの桜なのだが、あいにくの天気…。せめて止んでくれたらと祈る。で、10時ごろに熱海駅に着いたのでちょっと時間をつぶしてからホームへ上がる…が、間違えて新大阪方面行きのホームに上がりかけた。祖父母が乗っている新幹線が入ってくるアナウンスを聞きながらエスカレーターで気づき、慌ててエスカレーターの残りを駆け上がって階段を駆け下りる。旦那と2人で行ってこれか! 走って向かいのホームを上がる頃には新幹線が入ってきている。7号車だったっけ、近くでよかった…と待っていても…出てこないし! 新幹線には乗ったんだよねぇ、多分。連絡なかったから。7号車じゃなかったのかな…とうろうろしていると2人を発見。13号車て。無事捕獲!と母と叔母にメールを打っておいて熱海駅を離れる。
 11時前だが「お昼!お昼!」と騒ぐ2人をなだめつつ走る。年末にうちからお歳暮代わりに贈った金目鯛の干物がとってもおいしかったのだそうで、「金目が食べたい!」と言う祖母の要望をかなえるべく伊東の道の駅へ。大きいところだから何かあるでしょ。飛び込んだお店にちょうど「金目のお刺身どんぶり」があった。とりあえずご満悦でほっとする。
 泊まり先は熱川なんだけど、さてそれまでどうするかなぁ。天気が悪いんだけど…と思いつつ、一応事前に考えていた椿を見に行く。あんまり咲いてない上に寒い。桜の里へ行ってみる。ほとんど咲いていない上に寒い。おまけに祖父母はあまり長い距離を歩けないので、車で通るだけ。後は何があったかな…と列挙していたら「城ヶ崎のつり橋が見たい」という。海の上にかかるつり橋で、サスペンスドラマなどでよく使われる場所なのだけど、私も行ったことがない。旦那も高校の遠足で一度行ったきりだとか。道が妖しいけど向かうだけ向かってみる。
 駐車場の場所がわからずさまよって、少し引き返して大きな駐車場に停める。でも「つり橋まで1.1kmのハイキングコース」って…。無理だろ!と思っていたら「来たから行ってみる」と言い出した。大丈夫か…。ゆっくりゆっくり歩く。ゆっくり過ぎて進まない…。祖父母は青息吐息、旦那と私は心配で青ざめる。あと400mというところで道が分かれて分からなくなったので、旦那が走って偵察に行くことに。…と、携帯が鳴った。
「この先がゴールでつり橋あるんだけど…駐車場がありやがった」
どうやら来たときに「迷って引き返した」ほんのちょっと先がつり橋の目の前の駐車場だったらしい。まあいい、同じ山道を引き返すより、ココに車を持ってきたほうがどんなにか楽だ。祖父母を励ましてつり橋まであと少しの山道を歩き、旦那はまた引き返して車を取りに行った。
 さてつり橋ですよ。雨はとりあえず止んでいたけど風もあるし波もすごいし、頭の中は延々火曜サスペンスの音楽が鳴り響いていた。つり橋ゆれるし!定員100名とか書いてあるし!海難救助は108番って看板、ちっとも安心できないし!!

ようよう撮った写真がこれ。携帯を取り出したら落としはしないかと手が震えた。この断崖で何人の真犯人が独白をしたんだろうか(笑)
 車に戻って一息。この時点で3時を回っていたので、ホテルに入ろうかということになる。疲れたしなぁ。熱川のホテルに到着。入り口の池を祖父が覗き込んでいるので何があるのかと近寄ったら、祖父が一言ぼそっと言った。

「うまそうじゃのう。」
 ………そーいう感想なんだ、これ。
 湯煙を見ながら温泉につかってのんびりし、ご飯を食べたら4人そろってばったりと寝た。8時ごろから(笑)