嵐は去りぬ

 最終日。とはいえ14時前に三島を出発する新幹線に新幹線に乗せなければならないので、少々急ぎ足。
 朝ご飯を食べて修善寺の町をほんの少しだけ散歩。感じのいい竹の小道を歩いてみる。それから車で出発。季節のものだということで、三島までの道の途中にあるイチゴ農園へ。イチゴ狩りが出来ることで有名な場所だけど、「元は取れない」という祖母の一言で狩りはしないことに。イチゴのお土産だけ買うよ、って言うけど、そのでっかい箱をどーやってお持ち帰りするつもりですか…。結局2箱を吊り下げて頑張って持って帰ることに。ずっと車で移動してたし、服などの荷物はずっと旦那が持ってたからあんまり感じないけど、2人で広島駅から家まで帰れるんだろうかと心配になる。祖父も欲しいものがあったみたいだけど我慢していた。そりゃぁ…椿の苗は持って帰れません。一風変わった花がついていて面白いものだったけど。
 さて早目の行動で三島へ。それでもちょっと時間が余るので、水の湧く公園か三嶋大社、どっちがいい?と聞いたら「大社に行きたい」との祖父の返事。じゃあ行ってみよう。
 神社仏閣は好きで自ら仏像の木彫りを行う祖父。歴史も好きで知識もとんでもなく幅広いのだが、2度の脳梗塞のせいで記憶の引き出しが引っかかって出てこないことがよくある。それでも思い出そうとしゃべっているといろいろ欠片が出てくるみたい。
「何か名物があったはずだが…何だったかな」
「やじさんきたさんが何かやってたはずだがな」
 しかし残りの3人はその時点でへぇボタンの連打しか出来ず、記憶を引き出す助けになれない。東海道中膝栗毛は確かに三島宿があったけど…学生時代に言語学的見地から言葉尻だけ追いかけて読まされたから、内容なんて覚えてない国語科。
 行ってみれば確かに「福太郎もち」というお土産名産品があり、やじきたの記念写真用看板(キャラクターの顔から自分の顔を出して記念写真を撮るアレだ)があり、記憶の裏づけができた。すごいな…と感心してたらさらに出てくる。
「大社って本殿と、周りを囲むように他の社もあって
 いろんな神様が集まれるようになってるんだ
 確か宮島もいるはずなんだが…」
うろうろ探す。確かに見渡してみれば本殿を囲むようにたくさんの社が並んでいる。

ちょっと長屋チック。

一軒一軒にちゃんとこうやって表札が付けられている。宮島さんは見当たらないけど…名前が違うのかしら?
 大社を出たら早目のお昼ごはんを食べて、駅の喫茶店で時間をつぶす。楽しかったねぇ。
 13時50分に新幹線に乗せて、寂しいけどほっと一息も。祖父母はまだ名古屋での乗り換えの際に叔母と少しだけ会う予定。メールをしておこう。
綾「乗せたからね〜。後は任せた!」
叔「ご苦労さん!スルーしたらごめんよ」
綾「それってどんなキラーパス!?ちゃんとネット張って!」
叔「ネットの真ん中に、それは大きな穴が…」
 好き勝手言ってるな、と旦那が笑った。名古屋についた頃に「ちゃんとキャッチした?」とメールしたけど返事が来ないので、まあ忙しくしゃべってるんだろうと思っていたけど…1時間くらいして
キャッチアンドリリース成功!後は広島の母に任せる」
とのこと。言い回しを旦那が当てたので「俺も毒されてきたか」とさらに笑っていた。
 さて、まだ仕事は残ってるぞ。持って帰れなかったお土産をこちらから宅配便で送らないと…。