時代と単位

 特に何もなければ、平日のお昼ご飯は祖父母の家に食べに行く。もちろん家に食べ物がないわけではないのだが、私の両親が共働きで日中いないので、祖母が気を利かせてくれているのだ。私と弟が学生の頃は、これが毎週土曜日の習慣だった。半ドンで帰ってきて(もしくは土曜日が休みになって)、両親はまだ仕事なので祖父母と食べる、と。今になってもこの習慣が染みついているのか、誰も何も打ち合わせしていないのに、私が実家に帰ってからというもの、またこれが復活した。祖父母の家まで300歩くらい。ちょいとした散歩にもなってありがたい。
 今日のお昼を食べている途中に、祖母と「赤ちゃんが生まれたときの体重」の話になった。私が産まれたときが3120g、弟が3770g。そんな話をしていたら、祖母が感心したように「(弟は)1貫越えしとったんね!そんなにあったっけ!」と言った。1貫越え?ああ、昔の重さの単位ね。
「昔はねぇ、1貫越えした子を産んだら『大きい子を産んだねぇ』って言われてたよ」
とのこと。ふーん? 1貫ってどれくらいだったっけ。確か百貫デブって300kg以上だったような…。正確なことは覚えてないなぁ。普段は話には参加しないけど一応聞いているらしい祖父が、昔自分が仕事で使っていたミニ辞書を引っ張り出してきて調べてくれた。1貫=3400g。弟は軽く超してるな(苦笑)
 ふと聞いてみる。
 綾「母が産まれたときは、体重どれくらいあったん?」
祖母「800…(思い出し顔)」
 綾「はっぴゃく!?Σ(゚Д゚;)」
祖母「そうそう、860匁」
 綾「もんめ!?Σ゚ ゚(Д;)」
 単位としては知ってるけれど、うちの母親が産まれた頃(ったって、60年も経ってない)って、赤ちゃんは尺貫法で取引されてたんかい!? 今じゃ尺貫法で取引されてるのは真珠くらいのモノだが…。860匁が今で言うとどれくらいかを計算するのも忘れて驚いている私を見て、祖母が驚いた。
「だって、自分の部屋で産んだんだよ〜。お産婆さんが来てさ」
病院じゃないの!? えー!?
 当時としてはそんなものだったのかもしれないけれど、今自分の身に置き換えてみると、自分の部屋で出産なんて、不安すぎて恐ろしいわ…。病院で、医者が近くにいてくれるから多少たりとも安心できるんだろうになぁ。
 両親が帰ってきてから、母に「ばあちゃんに母が産まれたときの体重を聞いたらね」と話をしたら、母は「私? 3000…」とgで答えようとしていた。さすがに自分が尺貫法で言われたとは思わなかったらしい。母より年上の父ですら「それはない」と笑った。いや、知らないだけかもよ〜(笑)