真夜中の侵入者

 宴会で大騒ぎした後、10時過ぎには旦那も寝て、私もうとうと。ところが興奮していたのか、ちびが久々の夜泣き。時計を見れば1時過ぎ。泣くのはすぐにおさまったけど、なかなか眠れないようで、おとなしくごろごろしては時々ぱっと起き上がる。寝てくれよ〜。
 そんなちびもうとうとし始め、あとちょっとかな?と思った瞬間にリビングの引き戸を開ける音がした…気がした。木造の家は温度や湿度が変わると色んな音をたてるので、時々びっくりするのだが…いくらなんでもドアは開かない。旦那のイビキを「父ちゃん!」と声をかけて止め、耳を澄ます。不審顔で起きる旦那。やはり足音らしきものが聞こえる。
綾戸「人がいる気配がする…」
旦那「………いるな…」
 寝室を出てリビングに向かう旦那の物音でちびもすっかり目がさめてしまった。時間は2時。大丈夫だろうかと、ちびを抑えながら耳をすませる。あちこちのドアをバタッと警戒しながら開ける音。足音。玄関の鍵をかける音。家の前に停めた車のドアを開けて閉める音。……………あれ?車?相変わらず捜索隊の音は家の中から聞こえる。そしてまた車のドアの音。
 ふと容疑者の顔が思い浮かんだ。それを証明するかのようなぼそぼそ話す声。ため息つきつき寝室に向かう足音。寝室のドアを開ける音に向かって声をかけた。
綾戸「……お義母様?(笑)」
旦那「そう…。コタツのスイッチを切り忘れたのが
   どーしても気になって来たんだと…」
 確かにうちは普段コタツをつけない。つけてもちびは暖まれないから。昨夜はみんなが集まるからってコンセントにつなぎ、義母が寒くてつけたらしい。そしてそのままになっていた。だけど、みんなが帰った後でバイメタルが働く音が聞こえてしまう私が気がついて、旦那に切ってもらっていたのだ。(同じ部屋にいれば、アイロンのスイッチが入っているのも分かる。昔はテレビのスイッチが入っていて画面真っ暗音が消してある状態でも解った。今のテレビは性能がいいので無理)もちろんそれを知らない義母は夜中にふと気になって眠れなくなり、電話をかけるわけにもいかず悩んだ末に侵入者になったらしい。さすがに私も寝てしまっていたら気づかなかったと思うが、ちびに付き合って起きていたので気づいてしまった、と。
 騒ぎがおさまってもすっかりランランになってしまったちびの目が閉じるのにさらに1時間を要し、私がようやく眠りにつけたのが3時半。さすがに朝起きられなかった…。
 朝になって所用で訪ねてきた義母は気の毒に謝り倒し、ちびを抱っこして「ちびちゃ〜ん、ばぁは昨日泥棒になっちゃったよ。何も盗ってないよ〜」と話し掛ける始末。びっくりはしたけど、笑い話になりましたわ…。